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海外で身内が死亡したら

Updated: Nov 28, 2023




日本人の海外渡航が自由化され、観光目的のパスポートが発行されたのが1964年。それから時代が進むごとに海外渡航者は増えていき、近年では海外旅行だけでなく、仕事や留学、国際結婚などにより海外移住を決めるケースがますます増えています。

また、グローバル化により、さまざまな国を渡り歩きながら仕事をするデジタルノマドやフリーランサーも珍しくありません。このように海外出国者数の増加に伴い、不慮の事故に遭遇、テロに巻き込まれる、病気になるなど、原因はさまざまですが海外で亡くなる日本人は多くなりました。

もしものときに備え、海外で死亡した場合の対処方法を知っておきたいところ。現地での火葬なのか、遺体搬送して日本国内で火葬をするのか、またどのような手続きや手順を踏むのか、さらにどのくらい費用がかかるのかなど見ていきましょう。



海外で身内が死亡した場合、必要な手続きや流れは?

海外で身内が亡くなられた場合、外務省を通じて連絡があります。

家族など身内が海外で死亡した場合の流れは、現地の警察または病院から在外公館(大使館や領事館などの総称)に連絡が入り、続いて日本の外務省へと流れていきます。そして、外務省からご遺族へと伝えられます。

通達を受けたご遺族は、故人の確認や各種手続きのために現地に行かなければなりません。しかし、どうしても行けない場合は、在外公館に相談しましょう。また、パスポートがない場合は、各自治体に問い合わせると、緊急発給してもらえます。現地に入ったら、必要な手続きを踏み、ご遺体を現地で火葬するか、日本に遺体搬送をして火葬するかの選択をします。

海外で火葬、遺体搬送して日本国内で火葬、どちらのケースも、現地の病院で死亡した場合は医師による死亡診断書、事故などで死亡した場合は監察医による死体検案書が必要です。日本の市区町村で死亡届を出す際には、その翻訳文(日本語翻訳者名が明記されたもの )も必要であり、死亡した日から3ヶ月以内に提出します。これらの書類発行には費用がかかります。


海外(現地)で火葬する場合


ご遺体の損傷が激しい場合や、国により防腐処置(エンバーミング)が施せないケースなどは海外搬送が難しいため、死亡した国で火葬を行います。また、海外からの遺体搬送にはさまざまな流れに費用がかかるので価格は高めになりますが、現地での火葬の場合、国によって違いはあるもの比較的低価格で火葬できることから、あえて火葬を希望されるご遺族もいらっしゃいます。

火葬の手続きの流れは、現地の在外公館に死亡届を提出し、火葬許可証と遺体証明書の発行を受けて火葬を実施します。許可証等は日本で墓地などに納骨する際に必要となるので、必ず取得し持ち帰りましょう。

海外では火葬よりも土葬が多いため、骨壷の入手が難しいこともあります。火葬後に遺骨や遺灰を入れる骨壺は日本から持参したり、日本で購入して送ってもらったりするといいでしょう。しかし、それができないときは、火葬後に他の容器に納めて日本で移し替えることが可能です。ご遺骨は手荷物で持ち帰り、まずはご自宅で手元供養し、その後、手元供養として遺骨ダイヤモンドや遺骨ジュエリー作製のために一部を残して、残りは墓地等に埋葬する方もこいます。埋葬の場合は証明書等が必要です。


日本国内で火葬する場合

日本国内で火葬をする場合は、海外からの遺体搬送は航空貨物を利用します。遺体搬送には、さまざまな手続きや書類が必要です。流れとしてまず、搬送に必要な故人のパスポートを用意し、それから、在外公館から発行される埋葬許可証と遺体証明書、そして防腐処置(エンバーミング)を受けて、エンバーミング業者発行の防腐処理証明書を発行してもらいます。

また、現地から空港までご遺体の移送や納棺梱包、空輸予約なども行わないといけないため、在外公館にサポートを依頼しましょう。そのほかの流れは、遺体搬送後の日本の空港で受け入れを行う葬儀社の手配や打ち合わせ、日本国内での火葬の手配、そしてご遺族が日本に帰国する便の取得です。


海外で死亡した遺体の搬送費用と流れ


上述の死亡後の手続きが完了したら、海外で火葬をしない場合の次の流れは、故人の帰国です。つまり、海外からの遺体搬送をします。遺体搬送の流れは、国によって事情が異なるため、多少の差異はありますが、おおむね以下にようになるでしょう。

  1. 現地の在外公館に、移送のための納棺梱包、国際航空運送の手続きを依頼します。ご遺族の航空チケットは自分で取得しますが、難しいようなら在外公館に相談することも可能です。 遺体搬送の手続きや、海外から日本に到着するまでにはそれなりに時間がかかります。空輸の安全面からドライアイスは使用できないため、エバーミング処置を施さないとなりません。エバーミング処置とは、ご遺体を消毒し腐敗を防ぎ、修復して美しく保存する方法です。 ご遺体は死後すぐに体内から腐敗が進むため、エバーミング処置にて防腐措置を施すことで、ご遺体からの病気が感染することも防止できます。これは、検疫という点でも必要な措置なのです。ただし、国によっては施すことができないこともあるので注意しましょう。

  2. その後の流れは納棺です。納棺梱包は国際法で決まりがあり、ご遺体を内側が金属の棺に安置し密封したあと、木材の棺でさらに覆います。これらの処置にも、納官証明書や梱包証明書、非感染証明書などが必要です。こうした書類は国によっても異なるので、在外公館に問い合わせましょう。

  3. 無事に遺体搬送を終え、ご遺体が日本に到着した後は、事前に打ち合わせをしておいた葬儀社が中心となり各工程を実施します。 まずは、ご遺体の移し替えです。遺体搬送時の棺では日本の火葬場に適合しないため、日本の棺に移し替えます。そして、ご自宅や葬儀場まで遺体搬送。その後は葬儀などを行い、埋葬による供養やご遺骨を身近に安置し手元供養を実施します。 海外からの遺体搬送費用は、さまざまな手続きや流れを踏むことや、空輸を使うことなどから、各事柄の価格を合算すると100万円くらいになります。日本から遠い国では150万円を超えることもあるそうです。以下が、価格に含まれる項目と価格の目安です。

    • ご遺体の航空運賃(日本から遠いほど価格は高くなる、約15万円~50万円)

    • 航空機用棺、納棺、諸手続き代行、空港への搬入などの費用(約50万円~70万円)

    • エンバーミング費用(約15万円~25万円)

    • 空港から自宅などへ寝台車で遺体搬送する費用(別途距離に応じて料金設定あり)

    • 移し替えの新しい棺代(約5万円~10万円)

    • 使用済みの棺を解体処分する費用約15万円~25万円

このほか、以下の費用も必要になります。

  • ご遺族の往復航空代金、宿泊費用、現地での生活費用


海外保険はどこまで補償される?


かかった費用の領収書や明細書は、全て証拠に残るように保管しましょう。

万が一のときのために加入している人も多い、海外保険。海外旅行損害保険などの海外保険は、現地アシスタンス会社によるサポートが受けられます。

また、クレジットカード付帯の海外保険では、ケガや死亡時の保険金以外にも、海外旅行に関するさまざまな補償がついているものがあります。例えば、現地での書類手続きや埋火葬、日本への遺体搬送手続き、ご遺族の渡航や宿泊の手配など。言葉や文化の違う海外で、多種多様なサポートを行ってくれる海外保険は、ご遺族にとって心強いでしょう。

保険を適用するためには、その証明となる領収書等が必要なので、交通費や宿泊費など、すべての領収書を保管しておきましょう。また、海外保険適用のために死亡した年月日と時間がきちんと記載された死亡診断書を作成してもらうこと、死亡届を提出することも忘れずに。

海外保険は加入する内容や会社によって、受けられるサービスが違うので現地に発つ前に確認すると安心でしょう。


まとめ


家族など身内が海外で死亡した場合は、現地の在外公館、日本の外務省、そしてご遺族という流れで連絡が入ります。基本的にご遺族は、故人の身元確認のために現地に赴かなければなりません。

現地に到着後、医師や監察医から死亡診断書などの証明書をもらい、日本国内で死亡届を出す際に必要となる翻訳文も用意します。ご遺体の状況や国によって、遺体搬送が難しい場合は、在外公館から証明書を発行してもらい現地にて火葬し、ご遺骨を持ち帰ります。ご遺骨は自宅にそのまま安置し手元供養したり、メモリアルダイヤモンドや遺灰ジュエリー作製のために一部だけを残し残りは埋葬したりするご遺族が多いようです。

海外からの遺体搬送は空輸で行われます。そのためのご遺体の腐敗を防ぐエバーミング処置、空輸の予約、空輸のための棺の準備、納棺や空港までの移送手続きを行います。さらに日本到着後の遺体搬送などの準備もしておきます。海外からの遺体搬送にかかる費用は、人件費、物品代、空輸代、証明書発行料などで、それぞれの価格を合わせると100万〜150万円ほど。

海外での死亡時は、海外保険の補償によるサポートが受けられます。故人が加入していた海外保険や、故人の持つクレジットカードに付帯する海外保険によってサービスが異なります。海外保険が適用できるように、領収書類はなくさず保管しておきましょう。






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